2016-02-02

ただのイエスマンでは終わらない 千原ジュニアの断らない技術

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千原ジュニアさんは、基本的に「断らない」人という印象があります。
どんなオファーでも、どんなムチャぶりでも、応えているというイメージです。

芸人さんなので、少なくともテレビに映っている間はそれが当たり前
という意見もあるかもしれません。
かと思えば、MCからのムチャぶりにたじろいだり拒否したりする芸人さんも
中にはいます。

でも、千原ジュニアさんの場合、ただのイエスマンという感じはしません。
世の「断れない」サラリーマンのような、悲哀感はありません

 

1.「断れない」のではなく「断らない」

千原ジュニアさんは東京に進出する前、関西では”ジャックナイフ”という
あだ名で呼ばれていたそうです。

あまりにトガったキャラクターゆえ、周囲から畏怖の念すら抱かれていたそうです。
まだ若手の時代です。

キャラクターが変わったきっかけや経緯は私にはわかりませんが、
今ではむしろ真逆の「人当たりのよさ」がテレビから伝わってきます。

千原ジュニアさんの芸歴は現時点で27年です。
立派なベテランゾーンです。

大卒のサラリーマンに換算すれば、50歳です。
部長とかのクラスです。

そんな人が誰かにムチャぶりされて、赤パン一丁で踊ったりします。
その受け入れ方に、媚びた感じがないのです。

サラリーマン世界のイエスマンは、本当は拒否したい気持ちがあったり、
正反対の意見を持っていたりしても、「仕方なく」イエスと言います。
イエスと言わざるを得ないという方が正確でしょうか。
出世や評価に影響するからです。
平社員でも、管理職でも、イエスマンはいます。

千原ジュニアさんの場合は、大きな権力に対して「断れない」のではなく、
自らの意思で「断らない」スタンスを貫いているように見受けられます。

芸歴27年のベテランならば、断っても文句を言われにくい立場でしょう。
そもそもムチャぶりできる人も限られてくるはずです。
でも、後輩の立場の人からのムチャぶりでも受け入れています。

 

2.「断らない」強さが主従を逆転させる

千原ジュニアさんが毎年末に翌年分の赤いパンツ20枚を、東京・巣鴨のお店で
まとめ買いしているのは有名な話です。
赤パンを愛用する理由は「芸人たるもの、いつ、何時、脱がなくてはいけない
状況が来るかわからない」からだそうです。

つまり、普段から「いつでも脱ぐ準備ができている」ということです。
仕方なくではなく、自分の意思でネタ化させる心づもりがあるということです。

アクション芸に頼らなくても、もともとトークだけで充分おもしろくできる人です。
そんな人が、あえてムチャぶりに応える用意があるのです。
繰り返しますが、サラリーマンでいうと部長級のキャリアの人です。

ムチャぶりに自分から飛び込んでいくと、ある種の下克上性を帯びてきます。
「このムチャぶりを逆に喰ってやろう」という内なる気迫が醸し出されます。

ムチャぶりした方=主とムチャぶりされた方=従の力関係が逆転し、
いつの間にかふられた方の独壇場になっています。

千原ジュニアさんは、その支配の仕方がうまいのです。
気づいたら「ふられた方がもともとの笑いを生み出した」みたいな構図に
変わっています。

 

3.「従」として嫌味なく制する

サラリーマン世界でイエスマンが登場する場面では、主従の力関係が
入れ替わることはありません。
逆らえないからこそ「イエス」なわけで、力関係は従来のままです。

昨年末の特番『絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』の中で、
「一定時間で面白い顔を20種類つくる」という企画がありました。
芸人さんが2チームに分かれて表情の種類数を対決するパターンで、
千原ジュニアさんがMCでした。

本来ならMCは競技には参加しませんが、ダウンタウン松本人志さんのムチャぶりに
よって、千原ジュニアさんが参加者の方に回ることになりました。
結果は散々で、つくられた表情のパターンはわずか数種類でした。

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もともとは「どれだけ(おもしろい)表情をたくさんつくれるか」を
対決する企画です。

実は他にも表情のパターンが少ない芸人さんはいました。
その芸人さんたちはただ単純に「全然顔変わらへんやん」と非難されただけです。

でも千原ジュニアさんの参加によって、「おもしろい顔を20コつくる」から
「顔を変えられないこと自体がおもしろい」という命題に変わった感じがしました。
この違いです。
主従の逆転とは、場の空気を味方につけてしまうということです。

最後に松本人志さんから「(その表情は)誰に向けてやねん」とツッこまれた
千原ジュニアさんは、「嫁や」と答えました。
「策略性を感じない素直さ」と「笑いをとる技術」の2方向から、好感度を
上げたのです。

そこに嫌味は全く感じられませんでした。

 

4.「断らない」=自分の世界観を築く

『ミナミの帝王』というVシネマがあります。
竹内力さんが主人公の萬田銀次郎を演じる、大阪ミナミの高利貸しの話です。
原作はマンガです。
残念ながら制作は終了していますが、全60作にものぼる超人気シリーズです。

別の放送局制作で、『新・ミナミの帝王』というシリーズができました。
主人公は萬田銀次郎のままで、演じるのは千原ジュニアさんに替わりました。
他のキャストもガラッと入れ替わっています。

もとの『ミナミの帝王』をご覧になっていた方はわかると思いますが、
萬田銀次郎役を引き受けるのは相当なプレッシャーだったと思います。
竹内力さんの役回りを受け継ぐ大変さは、想像を絶します
ファンには、あの風貌が、あの声が、あの親分の存在が、イメージとして
染みついています。

千原ジュニアさんは、当時の思いをこう語っています。

「ちっちゃいときから観ていた作品で、もうそこに“あるもん”でしたからね。『吉本新喜劇』と『じゃりん子チエ』と『ミナミの帝王』、この3本柱は定番。その1本に出させてもらうというのは、かなり、なかなかの覚悟が……ね。重責ですよ」

「オレ、線細すぎるでしょう(笑)? たくさんの賛否はあるでしょうけど、せっかくやらせてもらうんで、今までとはまたちゃうものになったらいいな、と思っています。台本上のセリフであっても、この言葉は言わへんな、と思う箇所があったら、僕の言葉に変えさせてもらってます」
(出典:お笑いナタリー )

やはり、重責を感じていたのは間違いないようです。
注目すべきは、最後の「台本上のセリフであっても、この言葉は言わへんな、と思う箇所が
あったら、僕の言葉に変えさせてもらってます」の部分です。

ものすごい責任を背負うことを自覚しながらも、自分の世界観に変えることをいとわない姿勢が尊敬に値します。

ちなみに千原ジュニアさん演じる”新・萬田銀次郎”は、スマート感が強調されています。
知恵を使うスタンスは”旧・萬田銀次郎”と同じですが、剛ではなく柔で融資問題を
解決している印象です。

サラリーマン世界では、「仕方なく」イエスと言わざるを得ない場面がたくさん
あるのは事実です。
でも少しでも、受動ではなく能動の「イエス」を言える余地を探っていきたいものです。

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