2016-04-03

とあるたこ焼き屋さんに学ぶ、「動線を整える」ことの本当の意味

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takoyakiya-dousen

私の家の近所に、すばらしいたこ焼き屋さんがあります。
このたこ焼き屋さんが、すごいのです。

店内で食べられるスペースとテイクアウト用の窓口が設けられており、
自宅兼店舗と思われる店構えです。
メインは女将さん的なおばちゃんが対応してくれます。

特に広いわけではありません。
たこ焼き1つ1つが超巨大な玉であるとか、聞いたことないカタカナの
シャレオツな食材が入っていることがウリ、というわけでもありません。

でも、すごいのです。

 

1.路面店として整えられた外的な動線設計

私は基本的にテイクアウト派です。
シャイでデリケートな私は、アツアツのたこ焼きをハフハフ言いながら
食べる姿を店内でさらすのは避けたいところです。

軽くヤケドして、ペロッとめくれた上アゴの皮を舌でゴソゴソやっている
姿でも目撃されようものなら、顔から火が出るかもしれません。
出ないかもしれません。

テイクアウトということは、売買のやり取りは基本的に窓口で完結します。
が、タイミングによっては「これから焼きますがよろしいですか」という時があります。
たこ焼き好きの私は、もちろん待ちます。

たいてい、「よかったら店内でお待ちください」と呼びかけられます。
シャイな私は、もちろん外で待ちます。

このお店、待っている間の外の動線がかなり整えられています

まず、入口ドアの真横にジュースの自動販売機があります。
個数にもよりますが、イチから焼く場合の待ち時間は最低でも7分以上です。
夏なら冷たいドリンクを飲み干せる時間です。
冬なら缶コーヒーでホッと一息つける時間です。

そして、自動販売機の横にスタンド灰皿があります。
「まあ、ジュースでも飲んでタバコでも吸いながら焼き上がりを待っておくんなはれ」
と言わんばかりです。
喫煙に厳しいこのご時世、近隣に灰皿は存在しません。

もはや、たこ焼きを買いにきたのか、ジュースを飲みにきたのか、
タバコを吸いにきたのかわかりません。
「ただただムダな時間を過ごす」という”待ちのストレス”はかなり軽減されます。

テイクアウトだからといって路面店の窓口でボーッと待っていたら、
焼いている側にプレッシャーがかかります。
場合によっては、通行人の邪魔にもなります。

たこ焼きを買ってもらうついでにジュース代も儲かって、なおかつ待つ側も待たれる側も
気分がいい、という動線設計です。

私は店内に足を踏み入れたことがないのでわかりませんが、店内は店内できっと
パラダイス的な動線が敷かれていることでしょう。

 

2.”人”として整えられた内的な動線設計

おばちゃんの真骨頂は、ここからです。

焼き上がると、窓口越しに「できましたよ~」とお呼びがかかります。
支払いとたこ焼き受取りのため窓口へ戻ると、こう言われました。

「長い間待ってくれたから2個おまけしとくね」

「いつも来てくれているから」ではありません。
待ったことに対してお詫びしてくれている状態です。

もちろん、注文時に「これから焼くから7~8分かかりますけどいいですか?」と
ちゃんと確認をとってくれています。
私が了承した結果の待ち状態なので、おばちゃんは何も悪くありません。

自分を悪者にしたうえでおまけをつけるという、ダブルの厚意です。
ただ「おまけしとくね」と言うだけよりも、猛烈な付加価値がつきます

別の日には、こんなやり取りもありました。

すでに鉄板の上に焼き上がりが何個かあって、いつでもパックに移せるタイミングでの
注文です。
イチから焼くわけではないので、たこ焼きが少し固くなっています。

「ちょっと固くなってますけどいいですか?」と確認されました。
たこ焼き好きの私は、「大丈夫ですよ」と答えました。

支払い時、お釣りを渡してくれながらおばちゃんはこう言いました。

「ちょっと固くなってるから、50円おまけしとくね」

おばちゃんの手には50円多めに握られています。

私はかなりあせって「いやいやいやいや、とんでもない!いいですいいです!!」と
拒否しましたが、「いいからいいから!」というおばちゃんの厚意パワーに負けて
受け取りました。

今回の場合も、私は「固いこと」に対して事前にちゃんと承諾しています。
おばちゃんは何も悪くありません。

もちろん、多めに返してくれるお釣りの金額は一切関係ありません。
シンプルに、お客様に対して気持ちがこもっているかどうかなのです。

 

3.おばちゃんは何の動線を設計しているか

ここまでされたら、このたこ焼き屋さんのファンにならないはずがありません。
(ちなみに味も抜群においしいです)
いっぱいおまけしてくれるから、たこ焼きが多めに食べられるから、という
理由ではありません。

お客様に対する心からの感謝の念が伝わってくるからです。

お気づきのように、おばちゃんが設計している動線はズバリ、お客様の心です。
向かう先は、「気持ちよくたこ焼きを買ってもらうこと」です。

前述の例は、一見のお客様にも”技”として使おうと思えば使えます。
買う側は、「ここまでしてもらって悪いな」という気持ちでお店をあとにします。
売る側と買う側のパワーバランスが逆転するのです。

実際私も相当恐縮してしまいました。
逆に「お釣りはいらない」と多めに払おうとしたこともありました。
(そしてまたもや見事におばちゃんの厚意パワーに負けました 笑)

設計しているというと何やら作為的な響きに聞こえるかもしれません。
もちろんおばちゃんは、そんなマーケティング的な視点でたこ焼きを焼いている
わけではないでしょう。

かといって毎回毎回おまけしてくれるわけではありません。
毎回何らかのおまけをつけるとなると、負担は相当大きくなります。
お客様側が、ヘンに当たり前になってしまっても意味がありません。

おまけが「ある時」と「ない時」のバランスが絶妙なのです。
自然に出ている気持ちだからこそ、人間くさくていいのです。
おばちゃんからは、恩着せがましいいやらしさは微塵も感じません。

「お金を払ってもらう」という行為に本当の意味で感謝している姿勢だけが、
思いきり伝わってきます。
そこには、ビジネスパーソンとして学ぶべき点がたくさんあります。

おばちゃんは、見事にゴールまでの動線を描ききっているのです。

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