2015-12-21

論破の鬼・橋下徹 元大阪市長が魅せる感情コントロールの美技

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先日、橋下徹 元大阪市長が退任されました。

反対意見多数の向かい風吹きすさぶなか、あれだけ激しい口調で
ストレートに考えを明示するリーダーが辞めるのは、大阪人として
正直寂しく感じます。

もともとメディア露出も多く知名度抜群だったという追い風も
手伝ってか、府民・市民にとってのヒーローとして偶像化されて
いたのかもしれません。

そんな橋下元大阪市長、会見では論理的な部分がとかくクローズアップ
されがちです。
記者をことごとく論破していく、おなじみの光景です。

ですが、時折感情面におけるコントロール術も披露されています。
ぜひとも盗みたい、抜群の美技です。

 

1.怒り顔からの急激なスイッチ

会見で記者の質問に回答する際は、基本的に強い口調のイメージが
あります。
平たく言うと、怒っているイメージです。

問答が終始穏やかな雰囲気で終わる場合もありますが、だいたい
記者サイドが「やられている」印象です。

さすがはもともと弁護士さんです。
最初から「論破してやろう」という雰囲気満々です。
駆け引きも超一流です。

※誤解なきように申し上げておくと、私は「相手を言い負かしてやろう」
という姿勢は推奨しません。
時には「あえて負けてあげる」のも人間力です。

 

全体的にトゲトゲしいトーンのなか、怒った顔の直後にフッと
ニッコリ笑顔になる時があります。
表情が一瞬で180度変わるのです。
アシュラマンのお面のようです。

大口をガバッと開けているわけではありませんが、上下の前歯は
見えている状態です。

こちらの記事
すれ違う時にあいさつできずに、目をそらしてしまう場合の対処法
でお話した口角コンタクトとはまた違うタイプの笑顔です。

話の流れや表情からして、どう見ても怒っています。
その直後の笑顔です。

笑顔→怒り顔の順番ならまだあり得ます。
冗談で笑っていた笑顔から、何気ないひと言に腹を立てて急に怒り顔に
なる、というパターンです。

感情的に本心から怒っている時、その怒り顔から間髪入れずに
笑顔にスイッチすることは相当困難です。
意識していても、なかなかできる芸当ではありません。

橋下さんが意識してスイッチしていたのか、自然に変換された
笑顔だったのかはわかりません。

ひとつ言えるのは、最強のコンビネーションだということです。

 

2.ある意味究極に冷徹な笑顔

直前まで顔も話し方も怒っていたのに、直後に笑顔にされると
「あれ?本当は怒ってなかったの?」となります。
会見映像を見ていて、私も実際思いました(笑)

感情は一瞬混乱をきたし、大きな振り幅をもって揺さぶられます。
聞き手に、安堵と一種の油断が生じる状態です。
議論の闘争心は剥ぎとられます。

結局怒っていたのは本気だったのかポーズだったのか判別がつかぬまま、
でも「完全に怒られているわけではなさそうだ」というプラス寄りの
解釈を抱いて、話は進んでいきます。

ある意味究極に冷徹な笑顔です。

会見を見ていると、そこからさらに畳みかけてくるパターンと
話題を打ち切りにしてしまうパターンがあるようです。

いずれにしても、主導権は橋下さんに移っています。

 

3.指導・叱責の時にも効果を発揮する

この美技を使う場面を、議論の駆け引き時のみに限定するのは
あまりにもったいないです。

部下や後輩を指導・叱責する時にも大きな効果を発揮すると思います。
むしろ、指導・叱責時にこそ使うのが最適かとも思います。

指導時や叱責時は、話しているうちに感情が高ぶってきて、
怒り顔と怒り口調になってしまうことは普通にあります。

※ただし、こちらの記事
「叱る」と「怒る」は結果論 解釈次第で毒にも薬にもなる
でもお話したように、目的としてはただ感情を爆発させるだけの「怒る」
ではなくて、「叱る」方が有意義ですよ。

指導や叱責を受けている側は、テンション的に参っています。
顔を見るのも怖いという状態かもしれません。

逆の立場で考えてみれば、少しでも安心できる材料を求めたい
というのが本音のはずです。

そんな時に、タイミングよく笑顔への瞬間スイッチがなされれば、
受け手は相当ホッとします。

「ただ感情をぶつけたいわけではない」という思いが一発で伝わります。
その場に建設的なムードが生まれるのです。

不思議なもので、たとえ無理やりであったとしても、笑顔にスイッチした
側の人も気分が穏やか方面に向かいます。
笑顔という表情に気分が引っ張られる状態です。
相手だけでなく、自分の感情をもコントロールしていることに
なるのです。

 

繰り返しますが、駆け引きに慣れているような人でも、怒り顔→笑顔の
急激な変換は相当意識していないと難しいと思います。
本能的に、急にニッコリする=ナメられるという意識が働く危険性も
あるからです。

でもその分、絶大な効果が見込めることは間違いないでしょう。

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