2016-04-30

『しくじり先生』生徒たちに学ぶ、プレゼンを聞く姿勢の極意

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テレビ番組の『しくじり先生』では、人生に”しくじった”有名人が登場し、
授業という形でその”しくじり”と教訓を話してくれます。

先生役の有名人1人(1組)に対して、生徒役の芸能人複数という構成です。
教室を模したセットの中で展開され、黒板も教壇もあります。
授業は、配布された教科書に沿って進められます。

いわば、1 対 多のプレゼンです。
視聴者は、”しくじった”先生のプレゼン風景を見ることになります。
同時に、生徒たちの聞く姿勢も見ることになります。

生徒たちのこの聞く姿勢は、まさにプロです。

 

1.プロの聞く姿勢その① ~先を急がない~

配布される教科書は、プレゼンでいえば企画書です。
先生も同じものを持っています。

作成したのは番組側のスタッフとはいえ、先生は事前に目を通しています。
いくら有名人といえども、あるいはいくら自分の人生についてであっても、
ぶっつけ本番でいきなりスムーズに説明するのはかなり難しいはずです。

つまり、事前にプレゼンの流れをシミュレーションしているわけです。
先生にも説明の段取りがあるということです。

生徒たちは聞いている間、先を急ぎません。
「先を急がない」とは、教科書をフライングしてパラパラめくらない
ということです。
たま~に例外の生徒がいますが、パラパラめくる人の割合は一般のビジネスシーンと
比べると圧倒的に少なく見受けられます。

プレゼンターにとって、先に企画書をパラパラめくられることほどツライ行為は
ありません。

パラパラとめくってしまう心理的な要因は色々あります。

①プレゼンの中身がつまらない
②直感的に眺められるビジュアルページを求めている
③最後に「いい質問」をしようと、プレゼン中に予習を企む

『しくじり先生』の生徒たちは、上記のような要因をガマンして、先走らずに
聞いています。

 

2.プロの聞く姿勢その② ~合いの手の入れ方が秀逸~

生徒たちは、ただ黙ってフンフンと聞いているわけではありません。
もちろんあくびもしません。
目を開けたまま寝るという高等テクニックも駆使しません。

先生の言葉、間のとり方、教科書に書かれた文字、あらゆる要素に対して合いの手
入れます。
首を大きく縦に振ってうなずいたり、大きめの声で嘆息的な相づちを打ったり、
時には立ち上がってツッコミの言葉を叫んだりします。

プレゼンターにとって、自分の説明に対してリアクションが返ってくることほど
うれしい行為はありません。

『しくじり先生』はテレビ番組であり、視聴者を惹きつける叡智が結集されています。
関わる人たちのほとんどが芸能人なので、教科書の構成や映像の編集も含め、
最初からプロの高いレベルでスタートしているのは事実です。

が、一般のビジネスシーンでも、活かせる姿勢はおおいにあります。

 

3.プレゼンを聞く姿勢がもたらす功罪

前述の生徒たちのような姿勢でプレゼンを聞かれると、プレゼンターにはどのような
変化が訪れるでしょうか。

先生は授業をしながら、自分に起こった過去の出来ごとを追想しているはずです。
内容が”しくじり”なので、追想には負の強い感情が伴っているはずです。
プレゼンターでいうと、企画の内容や話の段取りを反芻している状態です。

話を聞きながらめくらずに同じページを見るというのは、その追想にリアルタイムに
乗っかる行為です。
話す方も聞く方も同じ時間軸で進行することで、互いの臨場感が増します
どんどん波長がシンクロしていきます。

そこに大きめのリアクションが返ってくると、プレゼンターの気分はさらに上がります。
企画への情熱や思いが強ければ強いほど、聞き手とシンクロした時の相乗効果は絶大です。

情動を伴った臨場感の共有は、本音を言いやすい空気をつくります。

つまり、テンションの上がったプレゼンターがポロッと本音をもらしてしまう
確率がグッと上がるということです。
アドリブで、企画書には書いていない思わぬ情報を口走ってしまうかもしれません。

副産物をもたらす可能性を上げることこそが、聞く姿勢の極意です。

一方、生徒たちとは逆の姿勢で聞かれると、どうなるでしょうか。

企画書をパラパラめくられると、プレゼンターはあせります。
パラパラめくる人は、たいてい「お手並み拝見」みたいな訳知り顔で聞いています。

心理的な要因の1つ「プレゼンの中身がつまらない」は、確かにプレゼンターの責任です。
が、パラパラめくる行為はかっこよくも何ともありません。
先めくりしている分、「今」の話についていけないので、大事な情報を聞き逃したりします。

さらに斜に構えられてリアクションも薄いとなると、プレゼンターはひたすら
「無事に終了させよう」ということばかりを考えてしまいます。
プレゼンはどんどん事務的で無機質なものになっていき、プラスアルファの情報が飛び出す
余地などありません。

先めくりと薄いリアクションは、プレゼンターをしらけさせるだけでなく、
もしかしたら得られていたかもしれない貴重な情報をみすみす逃すことにつながるのです。
わざわざお互い損にしかならない聞き方をする必要はないのです。

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