みんなが嫌がる仕事に勇気を出して挑んでみると、意外にいいことが
あったりします。
綺麗事ではなく、実際に”メリット”があると私は思います。
みんなとは、会社の同僚です。
嫌がる仕事とは、たとえば、資料の作成作業がやたらと多いプロジェクトとか、
何とか委員会のメンバーになるとか、雑用ばかりが目立つような業務とか、
そういった領域です。
1.”負の推測”が食わず嫌いを助長することもある
人が嫌がるだけあって、確かに手間がかかることが多いかもしれません。
「しんどい」とか「おもしろくない」とか「面倒くさい」といったキーワードが
並ぶようなジャンルです。
噂や又聞きから仕事内容をイメージしている場合もあります。
その場合は「しんどそう」とか「おもしろくなさそう」とか「面倒くさいらしい」
というキーワードに変わります。
全て推測系です。
実際に携わったことがある人の本音の感想ならまだしも、携わる前の
”負の推測”が先行してしまうと、いざという時に気持ちがしぼんでしまいます。
常に不安がつきまとう状態になってしまいます。
やる前から推測だけで除外してしまう食わず嫌いは、「意外とアリかもしれない」
仕事を自ら手放してしまう可能性があるのです。
2.思わぬ気づきや発見が隠れているかもしれない
私は2社目の会社で、そういった仕事には思わぬ気づきや発見があることに
気づかされました。
異動したての最初の業務が、まさしく周りが避けたがる案件でした。
「大変だと思いますけど・・・」と軽~くジャブを打たれていました。
そのセリフを言った、異動先の後輩のニチャッとした笑顔は忘れません。
粘度が高すぎる笑顔でした。
ショックな出来事のあとの異動だったので、業務内容を言い渡された時は
まっさらな気持ちで「よろしくお願いします!」と声高に返したのを覚えています。
相当ピュアな表情をしていたことでしょう。
しばらく携わってみると・・・
メッチャ面倒くさいやん!
というのが正直な感想でした。。。
つくるべき資料はとにかく多いわ、クライアント(顧客)の要求は細かいわで、
「このままやっていけるんだろうか」と自信をなくしかけたことは
一度や二度ではありません。
ひたすら淡々と、「どうすればクライアントが少しでも喜ぶか」という視点で
取り組んでいました。
綺麗事を抜きにすると、会社(異動先の部署)からすれば、
”便利使い”として与えた業務だったでしょう。
でも、その業務に携われたことに、今ではとても感謝しています。
相手の立場を先んじて想像する大切さを、業務を通してみっちり肌で
体感することができました。
訓練も積むことができました。
クライアントにも恵まれました。
「プロジェクトを総括的に仕切って指示を出すのが好き」という自分のクセに
気づくこともできました。
好きであることを「思い出した」と言う方が正確かもしれません。
振り返れば、この業務を担当していなかったらと思うとゾッとするくらいです。
3.人が避けるということは、競争率が低いということ
人が避けたがる仕事というのは、周りが過剰に悪い想像を膨らませているだけで、
やってみたら拍子抜けするほどやりやすかったりする場合もあります。
前述の私が携わった業務もまさにその典型です。
始まる前は恐れていたものの、いざ担当として進めてみると「いい部分」が
たくさん見つかりました。
私にとって「いい部分」は、面倒くささを充分に凌駕するほど価値が高いものでした。
人が避けるということは、競争率が低いということです。
そこで抜きん出れば、一気に評価を上げるチャンスも到来します。
人が避けるということは、その分仕事に対する主張が通りやすくなります。
たとえば複数で臨む案件などの場合、一緒に組む人を指名できる可能性も上がります。
自分のプロジェクトチームの人事権を有するようなものです。
こちらの記事↓
好きな人とのおもしろくない仕事 vs 嫌いな人とのおもしろい仕事
でも述べましたが、たとえ”おもしろくない”仕事でも、好きな人と取り組めば
楽しいものになります。
4.損得は逆転する
私の場合は業務命令として携わったパターンでしたが、時には自主的に手を挙げて
みるのも価値があると思います。
世の中には、「人が嫌がる仕事を率先して引き受けようなんて、しょせん
綺麗事じゃないか!」という議論もあります。
確かに、ただの便利使いとして指令が下ることの方が実態としては多いと思います。
「人が嫌がる仕事を一手に引き受けて、会社のために進んで自己犠牲を図りましょう」
と言いたいのではありません。
「人が嫌がる仕事を引き受ける自分に酔いましょう」と言いたいのでもありません。
人が嫌がる仕事を引き受けることにも充分に価値があると言いたいのです。
業務命令であれば不可避なので、逆にチャンスです。
少なくとも、「イヤです」と単純拒否するのはもったいないです。
短期的な視点で見ると、嫌な仕事を引き受けさせられた側は”損”しているように
感じます。
結局、嫌な仕事を避けることができる要領のいい人が”得”じゃないかと感じます。
長期的な視点で見ると、損得は逆転します。
どんなにしょぼい雑用でも、必ずコツというものがあります。
工夫の余地と言い換えてもいいでしょう。
その工夫をできるだけ早く発見するのです。
工夫を凝らしている姿を、見ている人は必ず見ています。
上司かもしれませんし、経営陣かもしれませんし、クライアントかもしれません。
それが武器となり、ゆくゆく稼いでいくための種となります。
ここで損得の逆転現象が起こるのです。
見ている人が誰もいないような会社は、心配しなくてもつぶれます(笑)
周りが避けていた分、改善点が手つかずで残っている可能性も高いです。
業務命令にせよ、自主的にせよ、どうせ携わるなら、自分なりに工夫して
やりやすくしていく方が建設的です。
モチベーションも上がります。
そして、思わぬ”宝”に巡り合うかもしれないのです。
「実は得意な分野だった」という業務的な発見かもしれません。
「ああ、自分はこういう領域が好きだったんだ」というパーソナルな
懐古かもしれません。
初めはイヤイヤだった無機質な仕事から見える景色に、気づいたら
立体的な色がついているかもしれません。
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