前回の記事
法人営業の飛び込みがツラい時①自分用のおみやげを持って帰ろう
では、飛び込み営業せざるを得ない場合のマインドについて
主にお話しました。
今回は、実際の行動についてお話します。
※繰り返しますが、私自身は飛び込み営業をあまり推奨していません。
会社の方針や立場など、やむを得ない事情がある場合を想定して
述べています。
1.電話でアポをとるより、いきなり飛び込む
私は1社目の会社では、けっこう飛び込み営業していました。
上司や先輩について既存クライアントとのやり取りに同行もしつつ、
あいた時間で飛び込みまくっていました。
会社からは「とにかく新規行け新規行け」と言われていました。
配属された部署の業務的にもいわゆる”引き継ぎ”クライアントがほぼなく、
自分で開拓しないと仕事が少ないという状況です。
いろんな業種の会社を訪問しました。
その中で私が感じたのは、
電話でアポをとるよりいきなりノーアポで飛び込んだ方がいい
ということです。
電話でのアポは一見順序を踏んだ正統派のようですが、
知らない会社から電話でアポのお願いをされた時点で相手は構えます。
電話をとった応対者から担当者につながれるまでに、
応対者『○○さん、△△株式会社という会社から、売り込みのお電話です』
担当者『ああ、いないって言ってくれ』
というやり取りがなされている可能性が高いです。
もしくは、運よくアポがとれたとしても、実際に会うまでにタイムラグがあります。
つまり、どちらも会う前から、断るワンクッションを与えやすくなります。
同じ「担当者に会えない」という状態なら、ノーアポで訪問した方がいいです。
効率を考えて「先に電話アポの方がいい」ではありません。
もし会社から「アポの電話かけまくれ」と言われているなら、
電話アポ作業は儀礼的にこなして、”いきなり訪問”の方に力点を置きましょう。
2.いきなり飛び込んだ方がいい理由
①「せっかく来てくれたのだから」と思ってもらいやすい
電話アポだと断るワンクッションを与えやすくなりますが、ノーアポでいきなり
飛び込んだ場合は、そのまますぐに対面できる可能性が高まります。
私は1社目の会社で、飛び込み営業から契約につながったクライアントに
「頑張って飛び込んでくる営業マンをむげに扱われへんねん」と言われました。
その後、途切れることなく取引していただく関係に発展しました。
いきなり訪問は、「せっかく来てくれたのだから」と思ってもらいやすいということです。
ここで、根性論を述べたいわけではありません。
雨の中傘もささずにびしょ濡れを演出しましょうと言いたいわけでもありません。
大切なのは、逆の立場で想像することです。
自分がセールスされる場合、事前にアポの電話がかかってくるのと、
「もう来てます」と言われるのとでは、どちらがつい会ってしまうでしょうか。
アポの電話だと、内容にかかわらず「うっとうしい」という気持ちが
先行しないでしょうか。
忘れてはならないのは、電話アポだろうと、いきなり訪問だろうと、相手にとって
失礼にあたる行為であることに違いはないということです。
比べたら、いきなり訪問の方が会ってもらえる確率が高いという話です。
②訪問先の会社を直接観察できる
電話アポとの違いは、訪問先の会社を直接自分の目で確かめられることです。
直接訪れてみると、電話ではわからなかった情報が入手できます。
受付さん(応対してくれた方)の接客具合はどうか、社内の雰囲気はどうか、
男性と女性の割合はどうか、役に立てそうな会話は聞こえてこないか、
などなど、挙げればきりがありません。
たとえ1回目で担当者に会えなかったとしても、自分で直接得た生の情報をもとに、
2回目訪問の作戦が立てやすくなります。
もしかしたら、偶然社長がそばを通るかもしれません。
社長が飛び込み訪問に対して寛容な人なら、いきなりアドバンテージが
与えられる可能性だってあります。
3.売りにいくのではなく、おせっかいをしにいく
飛び込み営業は、自社の商品を売りにいく行為ではありません。
おせっかいをしにいく行為です。
人は、頼んでもいないのに売りつけようとされることを嫌います。
まずは、「いきなり来たにもかかわらずうっとうしく感じなかった」と
言われるためにはどうアプローチすればいいかを考えます。
私のオススメは、
訪問先の役に立つであろう資料を一方的に渡す
です。
セールスすることではなくて、資料を渡すことを目的にするのです。
『セールスしにきました』ではなくて、『よろしければこちらをご覧ください』です。
役に立つであろう資料は、訪問先によって千差万別です。
業種や相手先の規模、社長の趣味嗜好などによっても変わります。
運よく担当者と対面してヒアリングできれば、「役に立つこと」の情報が
増えていきます。
一番いいのは飛び込む側が会社ぐるみで「飛び込み用の」おみやげ資料を
用意することです。
私が所属していた1社目の会社でも、無料の調査データを用意していました。
そこには自社のセールス情報は一切載っていません。
会社をあげてということが無理であれば、営業マン個人で用意します。
もしかしたらどこかのホームページの出力1枚で、相手に喜んでもらえる
かもしれません。
ひと手間という、センスの見せ所です。
大切なのは、相手先について極力知識を深め、その内容に沿った
「役に立つこととは何か」を考えることです。
時には自社内の内勤スタッフを動かすことになるかもしれません。
『まだ仕事も発生していない段階から、ムダじゃないか』という声が
聞こえてきそうです。
逆です。
先にこちらが相手の役に立っておくのです。
はじめは見当はずれな資料でもいいのです。
「何かうちの役に立とうとしてくれている」と思ってもらえることが重要です。
そして先に奉仕した分は、あとからリターンとなって返ってきます。
返ってこなかったとしても、調べた分の知識はムダになりません。
ちなみに余談ですが、相手先の事務所に入って最初に声を出す瞬間は、
同時に名刺を差し出しながら名乗りましょう。
目的は
①受付さん(応対してくれた方)の目線のやり場をつくるため
②自社名を文字で認識してもらうため
の2つです。
面識のない人が突然訪れた時、目線のやり場をつくっておくと
受付さん(応対してくれた方)も変に緊張せずに接客できます。
また、会社名をいきなり口頭のみで名乗ると、相手は聞き取れない
可能性があります。
「聞き返させない」ということも配慮のひとつです。
受付さん(応対してくれた方)にどう接するかで、ファーストコンタクトの
印象がガラリと変わります。
前回の記事でもお話したように、口火を切る時は堂々としましょう。
余裕が自信のオーラを生みます。
おどおどしている人の話は伝わりません。
緊張してもいいです。
ただし、こちらは目を逸らさずに、何ならちょっと微笑むくらいの素振りを見せましょう。
4.独自の視点を意識する
誰もが知る大企業の場合は、社名という看板だけで仕事が発生する時があります。
これは飛び込み営業でも当てはまります。
看板が大きければ、それだけで話を聞いてくれる可能性がグンと上がります。
逆に言うと、聞いたこともないような社名では、会ってくれる確率そのものが下がる
ということです。
これは綺麗事抜きの事実です。
私が勤めていた1社目は中小規模でしたが、飛び込みの際も「ん?どこ??」みたいな
態度をけっこう示されました。
悔しいですが、99%以上を占める中小企業の従業員にとって、これが世の中の実態です。
でも、だからこそ逆にチャンスです。
大企業のような看板がないということは、営業マン個人もしくは会社自体の
独自の視点を盛り込むチャンスです。
そしてその視点こそが、弱者の戦略となり得るのではないでしょうか。
もしかしたら、営業マン自身の趣味の話が活きるかもしれません。
人間性に活路があるかもしれません。
「ああ、こういう細かい資料がほしかったんだ~」と言われる着眼点かもしれません。
こちらも人間なら、飛び込む訪問先の人も人間です。
こちらから勝手に「役に立つこと」を考えて一方的に提供したら、
それをどこまで続けるべきかを考えるのも、視点のひとつです。
引き際を見極めるということです。
もしかしたら、A社に通い続けるよりも、B社に力を注いだ方がいいかもしれない。
C社はこのまま続ける価値がある。
その見極め力を養うプロセスも、飛び込み営業の価値なのです。
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