業務の報告不足で怒られる時があります。
 怒られる時は、たいてい「なぜもっとちゃんと報告して
 こなかったんだ」と過去形です。
報告量が足りなかった→何らかのトラブルが起こる
 →知らなかったので対処が遅れる、という流れです。
そこから「叱る」に進展すると、業務報告の意義を
 しっかり教えてくれる場合もあります。
報告不足で怒る人は、必ずしも「業務内容の1から10まで全てを
 把握しておきたい」という主義の人とは限りません。
 たまたま把握していなかった1によって、重大なトラブルが
 引き起こされることもあります。
どうせ怒られるなら、報告のしすぎで怒られる方が賢明です。
1.普段から小さな報告行為を重ねておく
報告不足とは、共有不足です。
 1対1の関係とは限りません。
 1対多の場合もあり得ます。
上司が相手なら、1対1です。
 同じ部署の周りの人が相手なら、1対多です。
進捗状況がわからないと不安になるのは、クライアント(顧客)だけに
 限らず、上司も同じです。
「今の私の業務はこんな状態です」ということがわかっていると、
 上司は安心します。
 「クライアントの○○さんとの折衝状況からして、次はこういう手を
 打った方がいいな」とシミュレーションできます。
 順調にプロジェクトが進んでいるなら、静観できます。
相手が上司にしろ部署内の同僚にしろ、うざったがられるくらい
 自分の業務内容を共有しておきましょう。
「なぜ報告しなかったんだ」ではなく、「わかった、わかった。
 そこまで細かく報告してくれなくていいから」と言われるくらいの
イメージです。
共有の仕方は、色々あります。
 かしこまって「部長、ちょっといいですか」と上司に話しかける
 パターンだけではありません。
たとえば、自分が携わっている案件について、クライアント担当者や
社内関係者の名前だけでも普段から口にしておく、進捗を3行程度に要約した
メールを上司に送っておく、廊下で立ち話のついでに軽く報告しておく、
 などなどです。
究極、ひとり言で「○○さんのメールはていねいやなあ」とつぶやくだけでも、
 「この人は○○さんと仕事している」ということが周りに伝わるわけです。
人間なので、悪気なくうっかり報告するのを忘れてしまうことはあります。
 大切なのは、通常の何気ないシーンで小さな報告行為を挟む
という意識を持っておくことです。
2.自分がいなくなっても会社は回る
「自分が辞めたらこの仕事は回らないだろうな」と業務サイクルを
 心配する人がいます。
 誠にお恥ずかしながら、私も思ったことがあります。
 (今思えば、傲慢極まりなくて顔から火が出そうですが・・・)
あるいは、「僕が辞めたら引き継ぐ人困るよね~」と後任者のことを
 心配する人もいます。
 なぜかニコニコしています。
 困ってほしいのか困ってほしくないのかわかりません。
 まるで、「あなたしかいないから困りますわ」と言ってくれるのを
 待っているようです。
いずれにしても、大丈夫です。
 辞めても、いなくなっても、何だかんだできちんと回ります。
 会社は何ごともなかったように存続します。
あまりムダな心配をしていると、「あれ?けっこうきちっと回ってるやん」と
 逆にショックを受けるハメになります。
自分がいなくなった時のことを心配するということは、
 普段しっかり業務内容の共有ができていないことの裏返しです。
自分からわざわざ
 「しっかり皆さんに共有できていません。
 (だから僕がいなくなったら困るでしょ)」と
 宣言しているのと同じことなのです。
むしろ「いざという時に周りが困らないようにしておこう」という
 意識を普段から持っておくことが大切ではないでしょうか。
3.「将来の迷惑減らし」に努める
本人がいなくなっても会社は回ります。
 とはいえ、一時的にせよ周りに迷惑がかかるのは確かです。
たとえば事故や病気で突然欠勤せざるを得なくなったり、
 急な異動で部署を離れることが決まったりした場合は、
 上司も同僚もその対応に追われることになります。
普段から業務の報告=共有を密にしておくことの意義は
 まさしくここにあります。
共有されている事項が少なければ少ないほど、その人の
 業務をカバーするのに手間も時間もかかります。
 結果、クライアントに迷惑をかけることにもなりかねません。
逆に、「業務の内容と進捗はこんな感じ」という輪郭が
 周りに共有できていれば、いざという時に助けてもらいやすくなります。
小さなひと手間が、将来的に周りにかけてしまうかもしれない迷惑を減らし、
 ひいては自分を救うことにもなるのです。
普段からうざったがられるくらいの細かい共有を心がけていれば、
 同僚に業務を引き継ぐことになった場合でもスムーズにいきやすいです。
 自戒を込めて申し上げると、引き継ぎで全てをうまく伝えるのは
 なかなか大変です。
 謎のヒーロー気質を発揮して、「オレが全てを把握してオレだけで
 全てを何とかしなければ」と鼻息荒くしている場合ではありません。
広告代理店時代の私の上司の口グセは、
 「お前がいつ車にボーンってはねられてもいいように、
 できるだけ細かく共有しといてくれ」でした。
一見冷たいセリフに聞こえるかもしれませんが、実は理に適っています。
 本人だけにとどめておくことがいかにリスクをはらむかを見据えた、
 大局的な考え方だったのです。
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