2016-01-04

『モニタリング』木部さん 逆風でもブレないキャラの1%のほころび

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TBS系列の人間観察バラエティ『モニタリング』は、
平日ゴールデンタイムでは異例の2時間枠です。

名物キャラは色々いるようですが、中でもベッキーさん演じる
木部さんはブレません
キャラづくりが徹底しています。

2時間枠でレギュラー拡大されることが決まった時、
視聴者の間では賛否両論あったようです。

「やらせ感がすごい」「ベッキーが寒い」などなど、
厳しめの意見も散見されました。
そんな中、木部さんはキャラを貫き通しています。

営業マンとして盗みたいと私が感じたのは3点です。

 

1.徹底したプロ根性

2時間枠でしかもレギュラーという時点で相当なプレッシャーが
かかっているはずです。
木部さんのキャラづくりは、そんなプレッシャーをはねのけています。

キャラクターとしては、ハッキリ言って好感が持てる人格ではありません。
ずうずうしさを絵に描いたようなキャラクターです。

もちろん笑いに変えるためですが、見ている人の中には
不快感を感じてしまう人もいるかもしれません。

以前に木部さんが宮城県を訪れるという企画がありました。
理由は「仙台の視聴率が悪い」からです。
そんなこと、普通はテレビで言いません。
宮城の人たちにも直接理由を明かしています。

宮城では本当に浸透していないのか、会う人会う人
木部さんのことを知らないようです。

一般の方にプレゼントをする企画がありました。
プレゼントの内容は、開けても開けてもひたすらひと回り小さい
箱が出てくるだけのいわゆるマトリョーシカ的なものとか、
「木部」と手書きされた白い無地のTシャツやタオルなどでした。

「こんなん誰がほしがんねん」というものばかりです。
それをさも「どうだ、うれしいだろ」というテンションで
相手に渡します。

実際に「自分のことをあまり知らない」宮城の人たちを目の前にして
この姿勢を貫くのは、かなり根性がいると思います。
中には子どもたちもいます。
「ベッキーです」と名乗ることはありません。

サラリーマンだと、上司や役員にちょっと言われただけで
180度意見を変えてしまう場面もけっこうあります。

木部さんの逆風は、ロケ先の「自分を知らない」一般の方々と、
視聴者の厳しい意見です。

全体視聴率を上げるために特定地域の視聴率の悪さを槍玉にあげるという、
宮城の人以外のこともしっかり見据えたキャラづくりです。
宮城の人にとっては、直接会えるという最高のプロモーションにも
なっています。

宮城の人とそれ以外の全国の人と放送局の3者にメリットをもたらす
利益追求行為です。
ものすごい精神力を持ったプロです。

 

2.お辞儀が深すぎて長すぎる

木部さんのお辞儀は深いだけでなく、長いのも特長です。
その深さと長さは、「すぎる」とつけていいくらいです。

あれだけ深く長くお辞儀されたら、「何や、礼儀正しい人やん」と
ちょっと見直してしまいます。
それがたとえキャラであったとしてもです。

お辞儀の長さに関しては、エレベーター前でのお見送りを例に、
こちらの記事
エレベーター前のお見送りでは、いつまで頭を下げるか
でもお話しましたので、よろしければご参照ください。

深さに関しては、私は適度な深さで気持ちを込めればいいという
考え方ですが、木部さんは明らかに「適度」より深くお辞儀します。
お辞儀している時間の長さが、深さのわざとらしさを帳消しにしている
感があります。

実は、深いお辞儀は比較的簡単にできますが、長いお辞儀は
けっこう意識を強く持っていないと難しいです。
頭を下げ続けることは、思いのほかストレスがかかります。

木部さんの深さと長さは、相手に好印象をもたらします。
ポイントは、お辞儀のタイミングを「最後」にもってこられると、
かなり強い印象を残すということです。

タイミングが「最後」だと、それまでの感じの悪さが一発で消し飛ぶ
効果をもたらします。
もっとも、木部さんの場合は紹介を受けた時など、途中のタイミングで
お辞儀を挟む場合も多いようですが。

私は、この深すぎて長すぎるお辞儀は、実は木部さんの本心なのではないかと
思っています。

「キャラがブレるわけにはいかない、でもこんなキャラで心苦しい」という葛藤を、
しゃべらなくてもいいお辞儀という行為に託しているような気がします。

 

3.1%のほころびとしてフッと見える隙が、人間らしさ

スタジオには、MCとしてベッキーさんが座っています。

木部さんのロケ内容がメインで映っている時は、ベッキーさんは
ワイプで画面に登場します。
ベッキーさんが木部さんのVTRを見ている状態です。

宮城訪問企画が放映されている時、ワイプのベッキーさんが
フッともらしたひと言があります。

「ごめんなさい・・・」

もちろん、「宮城の皆さん、ムチャクチャな企画で(ダマして)ごめんなさい」
という意味です。
顔は笑顔でしたが、申し訳なさそうなトーンは本音だと感じられました。

これが人間らしさです。
この素直なひと言で、見ている人はかなり救われます。

完璧に見えたキャラづくりから垣間見える人間らしさが、
親近感を手繰りよせます。
ものすごいプラスギャップです。

ずうずうしさの鎧から透けるものがあってこそ、人間です。
これはロボットでは真似できない感性ではないでしょうか。

仮にテレビ的にはよろしくなかったとしても、100%の木部さんキャラより、
自然に出た1%のほころびの方が人間的価値は高いのです。

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