2015-12-18

顧客視点の「顧客」はどっち? 提案の質を高める顧客意識

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B to B取引においては、「顧客視点」と「顧客満足」が
時折ゴッチャになります。
正確には、「顧客」が誰を指すのかがゴッチャになります。

「顧客」とは、まずは「発注者」ととらえます。
直接的にお金を払ってくれる人です。
もちろん間違いではありません。

でもその単発定義のみで提案ごとを考えると、構造を大局的に
見ることができなくなってしまいます。

B to Bの最初のB(自社=受注者)にとっての直接的な顧客は
2番目のB=クライアントです。
お金を払う・もらうの関係で言うと、ここで完結します。

ただし、各クライアントには、必ずお客様がいます
クライアントのお客様を含めると、登場人物が増えます。

B to B to Cかもしれませんし、B to B to Bかもしれません。
仲介を生業とする会社が挟まっていればB to B to B to B・・・と
延々続く場合もあります。

B to B営業マンにとっての「顧客視点」には、本来
クライアントの向こう側を見る行為も含まれている
必要があります。
平たく言うと、エンドユーザー(実際に商品を使う人)を
意識するということです。

一方「顧客満足」とは、お金を払ってくれる目の前の人に
どれだけ満足していただけるか、という指標です。

「顧客」の意味するところが違ってくるのです。

だから厳密には、「顧客の顧客視点」とか「顧客の顧客満足」
という言い方がないとゴチャ混ぜになってしまいます。

言葉の使い方を是正しましょう、と言いたいのではありません。

取引上の場面や行為によって、意識のレンズを寄せたり引いたり
することが大切です。

 

1.「顧客満足」と「顧客の顧客満足」

私は常々、営業マンの立ち回りにおいて「相手視点で先回りして
想像することが大切」とお話しています。

必要となるのは、想像力とそれにもとづいたひと手間です。
「どうすれば相手が喜ぶか、楽になるか、感動するか」
「自分の行為によって相手がどんな気持ちになるか」を
想像して動くということです。

この場合の相手視点は、直接的に接する相手を主眼に置いています。
直接的に接するのはクライアント担当者もしくはクライアント全体
が大半ですが、自社内の人であっても、協力会社の人であっても、
私は「相手」だと考えるスタンスをとっています。

目指すは相手の満足です。
相手がクライアントなら、顧客満足ということになります。

 

B to Bの取引において、顧客満足には2通りあります。
直接的な満足と間接的な満足です。
直接的な満足が「顧客満足」で、間接的な満足が「顧客の顧客満足」です。

拙著『社内外にファンを増やす 感じよさの秘訣 壁を乗越えた営業マンはなぜていねいな仕事に本気でこだわったのか。』(長くてすみません)でお話しているような内容は
直接的な満足を目指したものです。
つまり、「顧客満足」です。

まずは直接接する相手に喜んでもらわないと、始まりません。

その次に意識する必要があるのが、間接的な満足、つまり
「顧客の顧客満足」です。

クライアントのお客様が喜ぶと、クライアントの信用と利益が上がります。
クライアントのお客様を喜ばせることで、クライアントに間接的な満足を
提供することになります。

この2種類の顧客を明確に意識しておくことが、提案の質を高めます。

 

2.喜ぶ相手によって提案は2つに大別される

綺麗事を抜きにして申し上げると、クライアントへの提案は
2つに大別されます。

①とりあえずクライアントだけを喜ばせるもの
②クライアントのお客様の喜びを重要視したもの

①は、クライアントの社内事情だけで決定される提案、
コスト削減のみを考えた提案、上層部の好みに寄せた提案
などが該当します。

②は、クライアントのお客様の行動や気持ちも意識した提案です。
場合によっては、コストが割高になったりします。

①だけでも、取引は成立します。
ただ、喜ぶ登場人物がクライアントと自社のみです。
もしかしたら、クライアントのお客様の気持ちを無視した提案
なっているかもしれません。

クライアントを喜ばせることだけを考えていると、結局クライアントの
首を締めることにつながります。
クライアントがお客様から見放されたら終わりだからです。

「顧客の顧客満足」を適宜提唱することは、クライアントを守る
ことにもつながっていくのです。

 

3.宅配会社の例がわかりやすい

必ずしもB to Bの態様ではありませんが、宅配便の例に置き換えると
イメージしやすいかと思います。

takuhaigaisha

B to Bでいう最初のB(受注者=お金をもらう人)は、宅配会社です。
2つ目のB(発注者=宅配会社にお金を払う人)は、荷物の発送元です。
宅配会社にとって発送元は、クライアントです。
※着払いは今回は考えないことにします。

そこに、荷物を受け取る人が登場します。
発送元(クライアント)にとってのお客様です。

お金の流れは1本でつながるルートになっていますが、行動の流れは
宅配会社から2本出ています。
見るべき相手が2通り存在するということです。

宅配会社が発送元を怒らせたら、直接の受注が減ります。
宅配会社が受け取る人を怒らせたら、配送の仕事が減ります。
「あの会社から送ってくるのはやめてくれ」となるからです。

顧客の顧客を意識する重要性はここにあります。
発送元を喜ばせることに重きを置きすぎて、受け取る人に
不快感を与えるような雑な配送をしていると、見限られます。
「何ちゅうところから送ってくんねん」となります。

受け取る人→発送元→宅配会社という順番か、もしくは
受け取る人→宅配会社 & 発送元→宅配会社のダブルで
クレームが噴出します。

発送元に対して、「この配送サービス激安ですよ」よりも
「この配送サービス、受け取る人にとって便利ですよ」という
提案を時にはする必要があるということです。

宅配会社は、顧客とも、顧客の顧客とも両方に直接接するので
実感がわきやすいですが、他のB to B取引でも考え方の根っこは同じです。
顧客の顧客が個人ではなくて企業であっても、同じです。

 

4.顧客の顧客を意識するには

私が身を置いていた広告業界は、顧客の顧客をしょっちゅう意識します。
直接的にお金をいただくのは、クライアントです。
(スポンサーという方がイメージしやすいでしょうか)

広告を見るのは、エンドユーザーです。
テレビの視聴者であったり、雑誌の読者であったり、イベントの参加者で
あったりです。

しょーもないテレビCMをつくると、その広告主(スポンサー)の
イメージが急落します。
イベントの仕切りが悪くて参加者から不満が出ると、スポンサーの
信用を傷つけます。

「顧客の顧客満足」を満たさないと「顧客満足」も得られなくなる
という典型的なパターンです。

 

顧客の顧客を意識するには、その気持ちを考えるのがやはり近道です。

具体的な方法としては、

①行動をじーっと観察してみる
②「なぜ」を聞いてみる
③顧客の顧客になりきって行動してみる

の3つがいいと思います。

顧客の顧客の行動を長時間じーっと観察していると、意外な動きに
気づくかもしれません。

実際の購入者(利用者)に「なぜ買ったのか」を、
購入に至らなかった人に「なぜ買わなかったのか」を
聞いてみると、意外な答えが返ってくるかもしれません。

自分自身が実際にその商品(サービス)を自腹で利用してみると、
想像していたのとは違う発見をするかもしれません。

気をつけなければいけないのは、「顧客の顧客はこういう気持ちのはずだ」
決めてかかってしまうことです。

”はずだ病”のフィルターで提案や商品を見てしまうと、独りよがりに
なってしまう危険性があります。

「顧客視点」で悩みを解決するには、「顧客の顧客視点」に
立った考察も必要になるということです。

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