好感度を上げるという意識は、仕事の場面だけで持つものではありません。
日常の様々な状況でも、いい訓練になる機会はたくさんあります。
たとえば新幹線の座席。
新幹線でリクライニングを倒す時、後ろの人に対して
どのようなアクションを起こすでしょうか。
けっこう意見が分かれるところだと思います。
ここでは、グリーン車ではなく普通車を想定します。
指定席か自由席かは問いません。
※今回は飛行機や夜行バスについては言及しません。
まずは、アクションごとに大別してみます。
①何も言わずに倒す派(=逆に前の人が黙って倒してきても気にしない派)
②声はかけないが、後ろの座席状況を確認してから倒す派
③後ろの人に直接的にアクションを示してから倒す派
サラリーマン時代に何百回と新幹線に乗りましたが、
私の感覚では①の人が圧倒的に多いように感じます。
JRが「後ろの人に何らかのアクションを示すこと」を義務として明文化している
わけではないので、黙って倒してももちろん罰則はありません。
ただ、トラブルの芽が常につきまとうことは意識しておいた方がいいと思います。
②と③の方が少数派だと感じていますが、どちらもトラブルの芽を
事前につぶしておける可能性は飛躍的に高まります。
特に③は、単純に気分がいいです。
倒す方も倒される方も、ちょっと清々しくなります。
倒される方が被る可能性のある迷惑は、
精神的なものと物理的なものの両方ありますよね。
精神的なものは、いきなり倒れてきてビックリするとか、
不快な気分になるといったことです。
物理的なものは、飲み物がこぼれてしまうとか、
通る幅が極端に狭まるとかいったことです。
ノートパソコンを開いている人だと、前の背もたれがガーンと当たってバキッ、
みたいなことも起こり得ます。
物理的な方は、こぼれた飲み物がさらに隣の人にかかってしまったり、
狭すぎて隣の隣の人も通れなかったりと、2次被害が拡大する恐れがあります。
そうなると、倒した方はかなり肩身が狭くなります。
謝る必要があるのはもちろんのこと、到着するまで気分は落ち込みます。
飲み物がかかった隣の人から、「お前が倒されるからだ」と理不尽に
怒られる可能性もあります。
とばっちりもいいとこです。
③の直接的なアクションにも、色々あります。
(1)顔を後ろ方向にひねって、目を合わせずに会釈する
(2)後ろの人の顔を見て、会釈する
(3)後ろの人の顔を見て、「倒してもいいですか?」と声をかける
(4)後ろの人の顔を見て、人差し指を下に向ける動作をしながら
「倒してもいいですか?」と口パクする
私のオススメは、(4)です。
後ろの人に顔を向ける(=倒す意思表示をする)タイミングは、
倒す方の都合です。
倒される方は音楽を聞いていて、こちらの声が届かない
タイミングかもしれません。
「倒してもいいですか」と声に出されて確認されることを恥ずかしく感じる
人もいます。
急に当事者になることにためらいを覚える人もいるからです。
顔が見えて指は下を指し、口が何かパクパクしていると、
「倒したい」という意思表示は伝わります。
聞いている音楽を中断することもありません。
ちゃんと後ろの人にていねいに断りを入れたいけれども
声に出すのは何となく恥ずかしい
という人にもうってつけの方法です。
(4)の方法が最も適している座席というのがあります。
というより、後ろの人に直接的にアクションするのに適している、
と言った方がいいかもしれません。
それは、通路側の座席です。
たとえば『のぞみ』の普通車はA~Eまでの5席で1列ですが、
そのCかDということになります。
窓側のAとE、3人席の真ん中Bだと、そもそも後ろを向いて何かするという行為が、
体勢的にとてもやりにくいです。
ちょっと無理やり感も出ます。
CやDだと、開けている通路(空間)側から体をひねることができます。
つまり、隣の人に干渉しないで済むということです。
一方、ABEには開けた空間がありません。
ひねる時に若干「ウリャッ」となります。
隣に誰もいなければ問題ありませんが、「ウリャッ」とする時に
後ろの人以外の周りの人に配慮する必要があります。
ちなみに倒される方の意見として、「リクライニングを倒す前に
こっち(後ろ)を振り向かれる方が不快だ」という声を
耳にしたこともあります。
とはいえ、後ろの人に対してノーリアクションでいきなり倒すのは
やはり私は好きではありません。
振り向かれるのが不快だという人も、予告なしにいきなり
リクライニングを倒されてジュースがこぼれれば、
烈火のごとく怒ると思います(笑)
「なんでいきなり倒すねん」と(笑)
隣の人に迷惑がかからないようなら堂々と(4)の方法を、
周りに配慮する必要がありそうなら控えめに顔を出すなどの対処をして、
臨機応変に意思表示するのがいいと思います。
いずれにしても、アクションは必要です。
ただ、
単に後ろの人に礼儀を示せばそれで終わり、
という考え方だとやや近視眼的です。
少し寂しいです。
大切なのは、自分と真後ろの人だけの直線関係にとどまらず、
周囲360度の人たちとの関係もシミュレーションすることです。
「リクライニングひとつで何をおおげさな!」という声が聞こえてきそうですが、
どうせなら到着までお互い気分よく過ごしたいものです。
ほんの少しの想像が、ムダなトラブルとイヤな気分を回避する
可能性を高めてくれるのです。
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