2015-11-12

素直になれないビジネスパーソンへの教訓 吉田羊のエネオスCM

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吉田羊さんがニュースキャスターとして出演するエネオスのCMでは、
ビジネスシーンで最も大切な資質のひとつがわかりやすく表現されています。

「ニュースキャスター 電気」篇「ニュースキャスター 水素」篇
2本とも、とても人間くさくて考えさせられますよね。

私が考えるポイントは、タイミング周囲の空気感です。

 

1.素直になるタイミング

自戒も込めて申し上げますが、たいていのビジネスパーソンは
知ったかぶりをします。
経験上、男性の方がその傾向は顕著です(笑)
私もたまに”知ったかぶって”しまいます・・・。

「見下されたくない」といった心理的なものが作用するのでしょうが、
それはホンマもんのプライドではありません。
狭い狭い範囲の、ただの自己顕示欲です。

わからないことは、素直に「わからない」と言うことが大切です。
ちゃんと口に出してです。

これが簡単そうで、なかなか難しいことです。
プライド”もどき”が邪魔をするからです。
子どもの時はあんなに「わからない」「それ何?」を連発していたのに。。。

「わからない」と告白するタイミングは、一番最初です。
わからない言葉や表現が場に出た瞬間です。
途中でも最後でもありません。

あとから『いや~、実は知らないんだよね、アハハ』と言うと、
せっかく告白したのに、伝わる素直さが半減してしまいます。

CMでは、吉田羊さんは『あたしには知らないことなんてないんだから』や
『この仕事、何でも知ってないとできないんだから』と終始強気な態度です。

「電気」篇のバーでの『あたしだって知らないことぐらいありますよ』というセリフで、
自分についてちゃんと把握していることがうかがえます。
逆に「水素」篇では、『知ってたわよ』と我を貫き通してしまいます。

「電気」篇での『知らなかったなあ』や、「水素」篇での『へえ、もうそんなに
作ってるんだあ』を最初に言っていれば、誰もが文句なく敬う
スーパービジネスパーソンになっていたでしょうね。

 

2.知ったかぶりにも程度がある

ひと口に「知ったかぶり」と言っても、対象やレベルは様々です。

出来ごと自体を丸々知っている体でやり取りするものから、
言葉の意味を理解しているフリをするものまで、色々です。

出来ごと自体丸々は、ある意味そのボロはすぐに露呈します。
綻びが出る箇所が多いからです。

危険なのは、言葉単体の場合です。
特にカタカナ用語は要注意です。

たまに、専門外の人に対して虚飾の知性を披露したがる
カタカナ連発クンがいます。
本当の知性は、得体の知れないカタカナ用語をいかにわかりやすく
砕くかという能力です。
カタカナ用語をたくさん口に出すことではありません。

そんな連発クンに怒涛のごとく説明されると、
何となくわかった雰囲気を醸し出しながら、スルーしてしまいます。

連発クン『したがいまして、コンプライアンスの観点に照らし合わせ、
     矛盾なきコンテキストを組み立てながら、先方上層部のコンセンサスを・・・』
コンばっかりです。

”知ったかぶる”人は、ウニャウニャあいまいにうなずきながら、
何となく聞き過ごしてしまいます。

この「何となく」が非常に危険です。
あいまいな理解は、ボタンのかけ違いを引き起こします。

説明している方は、理解されているつもりで進行します。
「実はわかっていなかった」という発覚が遅れれば遅れるほど、
取り返すのに時間がかかります。
うやむやなまま社内承認を経て、契約内容に錯誤が生じると
会社全体で大きなダメージを負いかねません。

自己顕示欲の強い人の方が、損得でいうと結局損をするのです

 

3.「わからない」と素直に言ってくれるクライアント(顧客)は貴重

サラリーマン時代に、わからないことに対して即座にハッキリと
「わからない」と言ってくれるクライアントがいました。
清々しいハッキリ具合でした。

プロジェクトの決済権を持つくらいの立場の人です。
そのくらいの立場の人というのは、周りから
「普通、それくらい知ってるよね」という無用なプレッシャーを
与えられているので、無知を公言するのは容易ではないと思います。

部下の前でも平気で「わからない」と口に出すその姿勢に
あまりに感動したので、直接尋ねてみました。

私『いつもわからない時はすぐにハッキリ言ってくださいますよね』
クライアント『だって、本当にわからないですから。わからないものはわからないし』

そうなんです、わからないものはわからないんです。
禅問答でも何でもありません。
この当たり前すぎることを実行できるかどうかが、大きな分かれ目です。

すぐに素直に「わからない」と言ってくれるクライアントはありがたいです。
ボタンのかけ違いを防げる可能性が格段に上がります。
こちらの説明の反省点も浮き彫りになります。
結局、説明する方にもされる方にも得をもたらす行為なのです。

 

4.知ったかぶり空気を逃さない嗅覚を意識する

一方、”知ったかぶられる”側にも、できることはあります。

聞いている人が「何となく”知ったかぶって”いるな」と感じたら
説明の方向性を途中で見直すことです。

あとから「そんなん聞いてなかった」というトラブルに発展しないように、
微妙な空気を感じとるアンテナを張っておくことが重要です。

知ったかぶり空気のサインは色々なところから出ます。
聞いている本人の表情、うなずき具合、周りの人の雰囲気。

知ったかぶり空気は、その場の全員にダラダラと蔓延します。
「わからない」とズバッと言う人がいなければ、何となく全員が
「あ、ああ、うん、そうだね」みたいな顔で聞いています。

本当に理解している人を除いて、「あとで誰かに聞けばいいや」と
思っています。
理解している人がゼロ人なら、誰も教えられません。
また説明者に確認しなくてはいけません。
二度手間三度手間です。

知ったかぶり空気を敏感に意識しておくことで、
”知ったかぶられる”側がその二度手間を回避できる可能性が上がります。

CMでは、吉田羊さんの”知ったかぶり”に対して周囲は冷ややかです。
「電気」篇のスタッフたちは無言で攻撃的な視線を送り、
「水素」篇の田中みな実さんは『あれ?知らなかったんですか?』と
目をパチパチさせます。

”知ったかぶっている”ことを槍玉に挙げるのではなく、
全員が完全理解に向けて協力的な土壌を築けば
プロジェクトの生産性はおおいに上がることでしょう。

 

ちなみに吉田羊さん、実際はとても謙虚な方で、
役者という仕事に対して熱く真摯に向き合っておられるようです。

木村拓哉さん主演のドラマ『HERO』(2014年放送分のシーズン2)での
検事・馬場礼子役が大ブレイクのきっかけになったと言われていますが、
その劇場版公開に際して受けたインタビューでは、次のように語っておられます。

●女優になるきっかけは『自分は協調性も社会性もない人間だと自負していたから』
●『基本わたしは、自分に自信がないんです。役を演じることで、ようやく人前に
 「立てる」ところがあるんですね。なので、役を最大限リスペクトするのが大前提。
 その役をわたしが汚してはいけないと思っています』
(出典:シネマトゥデイ

CMとは正反対のキャラクターですね。

でもこの謙虚な姿勢と素直さこそが、ビジネスシーンで最も大切な資質のひとつだと
私は思います。
自分にも強く言い聞かせます。

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