相手先を訪問した時、受付さんはていねいに接してくれます。
たまにテンパっていたり、イライラしている受付さんも見受けますが、
基本はていねいです。
こちら側がお金を払う方かもらう方かは問いません。
スムーズな交通整理と、気分よく進んでもらう動線確保が仕事だからです。
一方、ていねいに応対してくれることに気が大きくなってしまって、
受付さんに不遜な態度で接する人がいます。
初めての訪問先なのに、今にも口説きそうな勢いで馴れ馴れしく
接する人もいます。
「なあ、ねえちゃん」と言ってしまわないか、ヒヤヒヤします。
知らず知らずのうちに、「ていねいに接してくれることが当たり前」
という感覚に陥ってしまうパターンです。
もちろん、「当たり前」ではありません。
まず、受付さんがいること自体、そもそもありがたいです。
いきなり担当者を呼び出すという行動の前に、人件費を割いて、
「案内業務」というワンクッションを挟んでくれています。
わざわざビジネス対応に寄せてくれているのです。
ていねいに接してくれることも、「当たり前」ではありません。
受付さん側は仕事なので、対応する側の「当たり前」の意識はあります。
マニュアルも存在します。
でも、対応される側からみると、「当たり前」ではありません。
いきなり担当者を呼び出すパターンの場合、キツく追い返されることだって
あり得るのです。
精神的な負担を事前に軽減してくれていると解釈することもできます。
受付さんは女性が担当していることが多いですが、
女性従業員の情報伝播力をナメてはいけません。
エラそうな態度をしていると、一気に相手社内に広まってしまうぐらいに
考えておく方がいいと思います。
ヘタしたら、ブラックリストに載ります。
「あの人、態度デカイよね」というヒソヒソ声が聞こえてきたら、悲しいです。
気安く「ねえちゃん」などと言っている場合ではありません。
受付さんに対しては態度がデカイのに、クライアントの要人にはペコペコしている、
という場面でも目撃されようものなら、目も当てられません。
訪問先がクライアント(顧客)なら、受付さんもクライアント(顧客)の一員です。
人材派遣会社から来ているかどうかは、全く関係ありません。
逆に言うと、こちらがきちんとした態度で臨めば、いい印象も広まる可能性が高くなる
ということです。
気づいたら「あの人、謙虚だよね」と噂されているかもしれません。
それが訪問先の要人の耳に入ることも充分にあり得ます。
直接的に相手にいい印象を与えることだけが全てではありません。
間接的に伝わった情報は、意外なほど強力なパワーを持っています。
受付さんはていねいに接してくれながら、全てを見ています。
いわば面接官です。
「訪問者としての適性を試されている」くらいの緊張感を持っておきましょう。
もっと言うと、受付さんの立場は”人間防犯カメラ”的な要素を持ち合わせています。
通常の防犯カメラは、映像、つまり視覚情報のみを残します。
音声が入っていないタイプが多いと思います。
受付さんは違います。
人間の感覚をフル稼働します。
声のトーンも熱気も伝わるし、体臭も感じとります。
機械の防犯カメラと違って、血が流れています。
受付さん本人たちは、「訪問者として適しているか合否を見てやろう」とか
「監視してやろう」という上から意識で仕事をしているわけではないでしょう。
大切なのは、わざわざ人員を割いて、人間がまず応対してくれているという事実を
ハッキリと認識して訪問することです。
そして、訪問先の一員に一部始終が伝わっているという自覚を持つことです。
やろうと思えば、人なしでもいけるわけです。
たとえば、受付スペースに呼び出し用のタッチパネルと内線電話を
置いておけば、人件費はゼロです。
ゼロですが、そこに本当の防犯カメラが加わって、
タッチパネル + 内線電話 + 防犯カメラ となると、
ちょっと無機質に感じないでしょうか。
若干寂しくもありますよね。
せっかく人員と資本を投じて生身の人間が応対してくれているのです。
どうせなら建設的なコミュニケーションが生まれるように心がけた方が
いいのではないでしょうか。
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