同じ部署や組織の中に、どうしても許せない態度の後輩が
いたとします。
大きくてエラそうな態度をとる後輩です。
無自覚に周囲を不快にさせる存在は、害悪です。
生真面目で責任感の強い人ほど、自分で何とか決着させようと
思い悩んでしまいます。
「オレが更生させてやろう」とあの手この手で注意したり
警告したりもします。
態度が悪い時点で精神的に消耗しているのに、注意や警告をすると
さらに疲れます。
一度は真摯に自分の思いを伝えるのがいいかと思います。
が、それでも努力の甲斐なく、一向に改善されない時もあります。
そういう時はどうすればいいでしょうか。
1.放置するという選択肢
ズバリ、放置しておくというのもひとつの手です。
接触は必要最低限にとどめます。
空気です。
私も広告代理店時代、どうしても態度が気に食わない後輩がいました。
あまりにエラそうなので、一度ブチギレたことがあります。
さすがにしばらくはシュンとしていましたが、ある程度
時間がたつとまた元に戻りました。
その時に気づいたのです。
自分がいくらその人の是正を信じて叱責しようと、ムダであると。
人間というのは勝手なもので、ソリが合わない存在がいると、
その人が視界に入るだけでつい気分が悪くなってしまいます。
自分でわざわざ必要以上に精神を疲弊させていたのです。
そのことに気づいてから、私は「放置する」という手段をとりました。
「関わらない」という戦術です。
2.沸点を超えた別の人が現れる
放置の手段をとってしばらくすると、興味深いことが起こりました。
同じく沸点を超えた、私よりもっと目上の人が現れたのです。
しかも3人です。
どうやら3人とも、後輩の態度を快く思っていなかったようです。
案の定、態度の悪い後輩に対して、3人から別々に超巨大な雷が落とされました。
雷はただの感情の爆発ではなく、れっきとした教育的指導です。
私ごときがブチギレるよりも、100倍くらいの威力があったと思います。
社会通念から鑑みて明らかに態度がおかしい人には、同様に不快に感じる人が
ほぼ間違いなく現れます。
しかも立場的に上層の人の可能性が高いです。
そして絶大な影響力を携えて、代わりに叱ってくれます。
放置とは、もっとエラい人に叱責行為を託すことです。
現れるのは組織内や部署内の人かもしれませんし、クライアント(顧客)
かもしれません。
クライアントだった場合は、時すでに遅しです。
クライアントに雷を落とされてから気づくようでは、会社にも迷惑がかかります。
叱る方も、相当なエネルギーを要します。
誰も好き好んでエネルギーを使いたいとは思いません。
相手の向上を望んでいるからこそです。
勇気を持って身をていして指導にあたった3人に、私は敬意を表します。
ちなみにその後輩、すっかり基本的心構えを取り戻し、人としてのよき丸みを
獲得しました。
3.自分を振り返るいい機会でもある
放置という手段は一見消極的ですが、立派な防衛行動です。
「ムダに心をむしばむ思考時間をゴソッと取り除く」という行為も
ある意味ひと手間かかっているのです。
自分の心のクリーン作業です。
ただし、後輩の態度が気になるということは、自分自身も同じように
振る舞っていた可能性があります。
自分も知らず知らずのうちにおかしていた過ちだからこそ、無性に
気になるということは充分にあり得ます。
振り返ってみると、私もかつてお世辞にも謙虚とはいえない態度で
仕事に臨んでいたことがあります。
今思えば「何と恥ずかしい態度だったんだ」と赤面してしまいます。
自分では治したつもりですが、もしかしたらどこかで低レベルな態度が
出てしまっていたかもしれません。
だからこそ、余計に人の態度に敏感になってしまったのかもしれません。
放置は、相手との接触時間を減らす分、自分を振り返るいい機会に
なるのではないかと思います。
「なぜ自分は後輩のあの態度にイライラするのだろうか」と
自問自答してみるのも、今後に活きる思考時間になるのではないでしょうか。
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