打合せや会議など、カタめの場でも
”笑い”の要素は必要だと思っています。
正確には”やわらかい空気”が必要です。
やわらかい空気になった方が、お互い素直に
忌憚のない意見を出し合えるからです。
やわらかい空気になるためには、笑いが起きるのが
最も近道です。
ただし、私たちは芸人ではありません。
つまり、笑いのプロではありません。
でも、笑いを利用することはできます。
芸人さんのような超一級のお笑いではなくとも、
相手が笑ってしまうことは普通にあります。
1.誰かが笑いをとったらチャンス
自分以外の誰かが冗談を言って、相手を笑わせる場面があったら、
チャンスです。
積極的にかぶせていきましょう。
かぶせるとは、同じネタを使うという意味です。
誰かが言ったネタについて、少し間をあけて再活用しましょう。
パクリではなくて、「再度放り込む」イメージです。
みすみす1回の笑いで死なせてしまうのはもったいないです。
最初に言った人が意図的に笑わせることを狙ったものなのか、
たまたま発言したことが笑いにつながったのかは
関係ありません。
最初の発言でウケることは確約されているので、
おそれることはありません。
正々堂々とかぶせていきましょう。
たとえば、誰かが「昨日財布から小銭がこぼれてバインバイーンって
転がっていきまして」という発言をして笑いが起きたとします。
かぶせるのは「バインバイーン」です。
他のあり得ない音として組み合わせてもいいですし、
何かの擬態語として使ってもいいですし、
動詞にしてしまってもいいですし、
発言者のことを「バインバイーン」と呼んでもいいです。
違うシーンで再度登場させることで、もう1段階大きな
笑いにするのが目標です。
2.元の発言者の存在を大きく見せる
笑いが起きたネタにかぶせてさらに大きな笑いの渦ができると、
元の発言者の存在感も大きくなります。
かぶせたことで、再度相手の記憶から掘り起こされるのです。
こうなると、元の発言者はその後の発言がグッと楽になります。
もしかしたら、元の発言者は実はシャイな人かもしれません。
本人は真面目に表現したつもりなのに、意図せず笑いが起きて
逆に耳を真っ赤っ赤にしているかもしれません。
聞いていた人に「ちょっとおちゃらけた人」と思われるのが
けっこう苦痛な人かもしれません。
笑いが起きたネタにかぶせることは、その羞恥心を引き取る
行為にもつながります。
もちろん、かぶせた人にとっては、よりウケたことで気分もいいですし
場をさらにやわらかくしたという功績も残ります。
かぶせる行為は、元の発言者にとっても、次の発言者にとっても、
場全体にとっても、プラスをもたらします。
3.使用回数の上限はわきまえる
ただし、ウケることがわかったからといって、むやみやたらと
連発すると失敗します。
あまりに短時間に何回もバインバイン言われると、相手も
さすがに「バインバインうるさい」となります。
同時に、せっかく空気をやわらかくする効果が激減します。
上限は、元の発言者の分と合わせて3回ではないでしょうか。
つまり、かぶせるのは2回までということです。
その2回も、適度な間をあけた方がいいです。
相手が忘れているタイミングを見計らうのがベストです。
忘れていたけど元々はしっかり刷り込まれていただけに、
2回目の笑いは大きくなります。
かぶせる時のコツは、自信を持って当たり前のように
言うことです。
「パインパイ~ン」くらいに弱々しくなると、相手も
気を遣って笑わなければいけません。
引きつり笑いを招くと、発言した方もツラくなります。
4.「ちょっと盛り上がった」レベルのネタでも大丈夫
今さらですが、ダウンタウンの松本人志さんはあらゆる笑いの天才です。
どこからあんな発想が出てくるのか、脳のどこからあんな言葉を
紡ぎ出すのか、不思議です。
松本さんのマネはできませんが、打合せや会議の場の空気を
敏感につかみ取ってコントロールする努力はできます。
私にはプロのお笑い論を展開することはできませんが、
「どんな構造で今自分は笑ったんだろう?」と
想像することはできます。
テレビを見ていると、松本さんは”かぶせる”技を実に巧みに
用いていることに気づかされます。
元の発言が必ずしも大きくウケたネタではなくても、
一級品に料理してかぶせています。
会議の場で少しザワッとする発言が出たなら、ちょっと間を置いて、
思い切って再活用してみましょう。
その際も、やはり自信を持って、です。
少し”ザワッと”のネタを発言したのがクライアント(顧客)なら、
なお効果的です。
1発言目の小さめの盛り上がりを、かぶせてさらに大きくしてあげる
イメージです。
相手をヒーローにしてあげる心構えです。
意思が伝われば、次の”ザワッと”を量産してくれるかもしれません。
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